東と西、国有林の分布

国有林の分布

 東日本と西日本の特徴を示す地図。国有林の分布図である(林野庁サイトから引用)。
 上戸と下戸の地図によく似ている。しかしこの地図は、1000年以上の長い年月をかけて成り立ったものではない。概ね明治時代の短期間に、政治の力によってできあがったものである。

 日本は平地の少ない山国である。山林は東にも西にも普く分布している。西日本には私有林が多いだけの話だ。
 東日本では、戊辰戦争のときに奥羽越列藩同盟が敗れ、その地域の村の入会地などの山林が、明治政府によってことごとく没収され、国有林となった。明治時代以後の「貧しい東北の村」のイメージは、資源でもあった山を失ったこのときから出来上っていったものであると、『風土記日本』(宮本常一他編)という本で指摘されている。

 上戸下戸の地図と比較して、微妙に異なる部分もある。
 東では、関東地方で少ないのは、平野が広く開発が進んだこともあろう。大正時代以後の変化もありうる。
 西では、岐阜県北部の飛騨地方に多いのは、「飛騨の匠」で知られる伝統的な産業との関連か。九州南部で、鹿児島県西部の薩摩地方が少ないのは、薩長政権といわれる政権の意志によるものだろう。

 気になるのは、江戸時代において「山林は将軍のものである」という考え方や意識があったと、ある学者の本にあったのだが、その背後にあるものはわからないが、明治初年に村の入会地(山林)が上地されることに抵抗が少なかった原因の一つにはなったのだろう。そうした意識は、鎌倉の将軍以来、西国にはあまり影響を及ぼさなかったものなのかもしれない。。

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