化猫の次第
【古文書倶楽部2018-5】
『講座日本風俗史第一巻』(雄山閣)に掲載の「瓦版」を読んでみる。
(仮名遣ひ等を改めた)。

音羽辺 化猫の次第
凡そ獣類の中にても寝食を同じうするは猫のみなれど、
又、年たけぬれば、わざはひをもなす事、古来よりためし多し。
爰に、音羽辺なる、さる御やしきにて、五月二十日頃の事とかや。
いづくよりかは、一疋の大猫来り、御愛子の枕近く立より、
はじめの程はたはむれ、くるひけるに、やがて耳逆だち、
口ひらき、眼するどににらみ、喰ひころさん斗りゆゑ、
何某公、是を追ひちらし、長刀にて追ひまはし、一太刀あびせけるに、
庭の松が枝にのぼり、血汐流れ候ゆゑ、其の生躰(正体)を見届けんとするに、
一向にかげかたち見えず、山の奥へ逃げさりしと見えけり。
……読んで見て、どうといふことはないのだが、
結局この化け猫は、危害を与へることもなく、聞く人に恐怖心を植ゑつけて、影も形も見えなくなった。
飼猫が人と寝食をともにすることは、この時代からあったことはわかる。
「実物大」といふのは、A5判見開き(A4)が、ほぼ「瓦版」の紙の大きさといふこと。
『講座日本風俗史第一巻』(雄山閣)に掲載の「瓦版」を読んでみる。
(仮名遣ひ等を改めた)。

音羽辺 化猫の次第
凡そ獣類の中にても寝食を同じうするは猫のみなれど、
又、年たけぬれば、わざはひをもなす事、古来よりためし多し。
爰に、音羽辺なる、さる御やしきにて、五月二十日頃の事とかや。
いづくよりかは、一疋の大猫来り、御愛子の枕近く立より、
はじめの程はたはむれ、くるひけるに、やがて耳逆だち、
口ひらき、眼するどににらみ、喰ひころさん斗りゆゑ、
何某公、是を追ひちらし、長刀にて追ひまはし、一太刀あびせけるに、
庭の松が枝にのぼり、血汐流れ候ゆゑ、其の生躰(正体)を見届けんとするに、
一向にかげかたち見えず、山の奥へ逃げさりしと見えけり。
……読んで見て、どうといふことはないのだが、
結局この化け猫は、危害を与へることもなく、聞く人に恐怖心を植ゑつけて、影も形も見えなくなった。
飼猫が人と寝食をともにすることは、この時代からあったことはわかる。
「実物大」といふのは、A5判見開き(A4)が、ほぼ「瓦版」の紙の大きさといふこと。
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