楡山神社の本殿向かって右方向(北側)に、末社の荒神社があり、荒神社の建物は彫刻で装飾されています。 建物の左右と背後の壁面の彫物は、中国の親孝行による奇瑞話「二十四孝(にじゅうしこう)」を題材にしたものです。 二十四孝の話は、日本の神社仏閣の彫物では、比較的多く見かけることができます。 | |
北側・剡子(ぜんし)
右に大柄な猟人の男、左に鹿の皮をかぶった剡子の図柄。
剡子は、老父母の眼の病いのために、眼病に効き目があるといわれる鹿の乳汁を求めて、鹿の皮をかぶって、鹿の群れの中にいたところ、猟人に矢で射られそうになった。しかし、大声を上げて事情を話すと、乱暴そうな狩人も、弓矢を収めて見逃してくれたという。親孝行の徳であるという。(「二十四孝絵鈔」より) |
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背面・田眞(でんしん)三兄弟木の前で相談する三兄弟の図柄。
田眞・田廣・田慶の三兄弟は、亡くなった親の財宝を三つに分け、最後に相談して、庭の紫荊樹という木を、三つに伐って分けることに決めた。翌朝三人が木の前に来てみると、昨日まで枝葉が盛んに繁っていた木がすっかり枯れていた。草木にも心があり伐られることを悲しんだのだろうと、伐るのはやめることにしたところ、再び元のように枝が繁って栄えたという。(「二十四孝絵鈔」より) |
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南側・楊香(ようこう)
右に虎に飛び掛かる娘・楊香。左に倒れかかる父、という図柄。
楊香は十五歳の娘で、父の側を離れずよく仕えていた。
山で薪をとっていたとき、大きな虎が現われて、父に襲いかかってきた。楊香は、父の代わりに犠牲になろうと、恐れずに虎に飛び掛かると、虎は急に静かになって逃げて行った。孝行が天に通じたのだろうという。(「二十四孝絵鈔」より) |